羅小黒戦記ゆかりの地めぐり①映画とは違う「リアル龍游」で深い森を感じる旅

聖地巡礼

《羅小黒戦記》シリーズゆかりの地を巡る旅。
第一弾は映画版で最も印象深い地名「龍游」と同名の、浙江省衢州市・龍游県です。

第二弾はこちら



龍游といえば、風息の故郷であり、クライマックスバトルの舞台になった都市ですが、リアル中国にも「龍游」という県(中国では市の下の行政区分にあたる)が浙江省衢州市に存在しています。

ただしいきなり何ですが、「現実の龍游と映画の龍游は関係がない」と監督が明確に否定しています。
何となく響きがいいからと名付けたところ、後から本当に龍游という地名があることに気付いたとのこと。
(こちらの舞台挨拶まとめ動画の33分前あたりから:https://b23.tv/WLWALr

映画の中の龍游の風景のモデルは北京や成都等の大都市から取られている(このあたりのツイート参照&別記事で書く予定) ので、実際の映画の風景を見に行くのであれば、「リアル龍游」よりこれらの都市に行くことをおすすめします。

ではなぜ私がそれでも龍游に行こうと思ったかというと、フォロワーさんの考察ツイートや中国語の資料から、現実の龍游はかつて深い森に覆われていて、今もたくさんの古木や名木が保存されていることを知り、どう頑張っても映画との関連性がないとは思えなくなったのです。
今住んでいる上海からも簡単に行ける(新幹線で2時間程度)し、関連はなくても同じ名前というだけで興奮できるタイプのオタクなので、とりあえず行ってみる!ということで清明節の連休を利用して行ってきました。

当時のツイートのまとめはこちらです。

リアル龍游の基本情報


龍游は浙江省衢州市にある人口36万人程度の県(日本でいう◯◯町くらいの田舎)。
隣は金華ハムで有名な金華市で、大都市上海や杭州からアクセスしやすい場所にあります。

とても歴史のある町で、春秋戦国時代には姑蔑国という小国が衢州一帯に存在し、遺跡も発掘されています。
観光スポットとしては、龍游石窟、龍游民居苑、姑蔑国生態園など、遺跡や保存された古い建築を楽しむことができます。また隣の蘭渓市には、諸葛亮の末裔が暮らしているという、陰陽の形の池を中心に八卦の形をした村「諸葛八卦村」もあります。

旅の目的:観光よりも森を感じたい

そもそも龍游自体それほど大きくない町なのですが、今回の旅は1泊2日の強行日程だったのと、《羅小黒戦記》映画の龍游に通ずる「原始の森」を感じたい、という主目的があったので、市街地での滞在はそこそこに山の中の民宿に泊まることにしました。


Airbnbで探すといくつか候補が出てきましたが、選んだところが結果的に超当たりで今回の旅がめちゃくちゃ充実しました。今回に限らず中国旅行にある程度慣れたら、民宿に泊まるのもおすすめです。

高速鉄道(新幹線)の龍游駅や役場のある辺りが中心部。
そこから県道を通って南下していくと山間地域になります。

上海から新幹線で出発~市内のようす

というわけで、世間より1日早めに休みに入り、中国版新幹線「和諧号」に乗って出かけます!!
旧正月期間はコロナで出歩けず、久しぶりのお出かけなのでテンション上がる!!

ちょこちょこ仕事をしているあっという間に到着。we will soon be arriving at ロンヨウ~

到着後はとりあえず車を呼んで龍游石窟へ。
「普通の中国の県」以上でも以下でもない駅周辺~中心部の様子。こういうなんでもない風景、たまにふと懐かしくなってくるんですよね。。

龍游石窟は遺跡としてはめちゃくちゃ面白い場所で大興奮だったのですが、長くなりそうなのでツイートを貼って済ませます。

いざ、森へ向かう。が、行きすぎる。

さて、予定通り市内観光は石窟だけでそこそこに済ませ、郊外行きのバスが出ているバスターミナルから山林方面へ向かいます。予想以上に農村感のあるマイクロバス。オラわくわくしてきた!!!(こういう旅が大好き)

バスの中からの動画、農村バス感のある音声がしてとてもハオい。

そして辿り着いた、宿の最寄りのバス停。
前日までの大雨で増水した茶色い川、山を削るHI●CHIのショベルカー、荒廃感がある…。これはこれでいいのだが、羅小黒感はまだない。本当に思っていたいい感じの森にたどり着けるのか不安が募ります。

ちなみに、景色を見ていたら降りるべきバス停をとっくに過ぎておりトイレ難民になって死にかけました。泣きそうになった。旅先では強くなければならない。

やっとのことで正しいバス停に引き返し、宿まで1.5kmくらいの道のりを歩きます。しかし、地図通りに歩いていてもこの先にいい感じの森の中の民宿がありそうな感じが全くしない。不安しかない。

想像の斜め上を行った最高の宿

4月ながら30度に届きそうな猛暑の中、歩いて歩いて遂に宿のある場所に辿り着きました。



スゥ・・・・・



おもてたんと違う!!!!!
でも好き!!!!!

とにかくご飯が美味しい!!!!
まず見て下さいこれらの食事写真を!!!!

いや、上海周辺在住の方はもうこの食事のためだけでも行ってほしいです。近いし…
ホストの男の子(といってもちょっと自分より年上)は初めての日本からのお客様に大興奮。地元料理フルコースの豪華な夕食&永遠に出てくるビールで計6時間くらい飲みながら色んな話をしました。(そしてほとんど忘れました。)

ご飯を作ってくれたお母さんは元プロの料理人をやっていたこともあるそうで、納得。道理でこんなに美味しいわけだ…今見返しても思い出して泣けてくるレベルで美味しかったよ…。また食べたい…。(しかも通常だと朝ごはん代以外は有料なのですが、「朋友だから」ということでタダにしてくれたという…。これは必ず再訪しなければ。)

いよいよ龍游の深い森の中へ

さて2日目は朝からホストの彼が山を案内してくれるというのでお言葉に甘えてついて行きました。
目的地は今自分が泊まっている周村の裏山にある道士源という集落。この道士源に龍游で一番背の高い古い松があるというので、見に行きたかったのです。

村の人々は皆が顔見知り、親戚みたいなもので、特に鍵もかかっておらず、気軽にズカズカ入っていって一緒に座ってお茶を飲みながらおしゃべりをします。楽しい。

そんなこんなで色んな所に寄り道をしつつ少しずつ山道を登っていくと、道士源の集落入り口に到着。
いかにも歴史を感じる古い廟と、その横に枯れた古い松と樟の木が出迎えてくれました。映画でも、自然を畏怖していた人間が神様に祈りを捧げるシーンがでてきましたよね。

その後も引き続き山奥に向かって進みます。1970~80年代を舞台にしたドラマで見たような昔ながらのお家で生活している人々がまだ身近にいることを目の当たりにして、けっこう衝撃を受けました。

途中で「この家にはいつ頃まで人が住んでたの?」と聞いたら「まだ今も住んでる…」と言われてめちゃくちゃ焦った(ごめんなさい…)

とはいえ、この辺りにも去年から開発が入って道幅が広がり、少しずつ車が通れるようになってきているそう。でも車が通れない場所の子どもは歩くか、お父さんお母さんにバイクで山のふもとの学校まで送ってもらっていました。

まとめ

以上、大都市上海から2時間そこらで行けるリアル龍游の山間地帯の様子でした。

素敵なAirbnbホストの方のお陰で地元の人にすごく近いところまで入れたので、まだまだ昔ながらの質素な家で質素な暮らしをしている人と直に交流でき、確かに映画の中に出てきた「過去の龍游」に近い雰囲気を思った以上に感じられました。

その一方で、ドラマ《大江大河》にあったような農村開発は今もリアルタイムで進行中。どんどん山道を切り開いて道路を作ったり鉄道をしいたり、暮らしがどんどん変わっていっている様子も現在進行形で見られてよかったです。来年には村の入口までバスも通る予定だそうで、もっとアクセスが便利になりそうです。

中国旅行レベルとしてはちょっと高めかもしれませんが、中国個人旅行に慣れていて語学も多少できれば、大都市から足を伸ばして是非行ってみてほしい場所でした。Twitterに上げきれていなかった写真を少し置いておきますね。

聖地巡礼記

Posted by Fal