*過去記事*中国時代劇にハマったら、横店に遊びに行こう!〜横店観光指南〜
この記事は2015年9月20日に公開された旧ブログ記事を加筆・修正したものです。
※チケット料金や列車代は当時のものですのでご注意下さい。
去る9月初旬、「戦勝70年記念日」の連休を利用して、やっと念願の横店に行ってきました!
中華圏の武侠映画や宮廷ドラマファン歴が長い皆様なら一度は耳にしたことがあるであろう「横店」という地名ですが、まだご存知でない方もいらっしゃるでしょうから、簡単に説明しておきますね。
以下ソースは百度百科)
「東洋のハリウッド」ともよばれる横店の歴史は、1996年に映画《アヘン戦争》の撮影のため浙江省金華東陽市の小さな村に今の広州街を建設したのがはじまり。
そこから瞬く間に秦王宮、香港街、清明上河図、明清宮苑などができあがり、街全体が巨大な歴史ドラマ撮影セットとなりました。

私が中華世界に脚を踏み入れるきっかけになった、チャン・イーモウ監督、ジェット・リー主演の映画《HERO》や、現地でも日本でも大ヒットを記録した宮廷ドラマ《宮廷の諍い女》など、数々の名作がここで撮影されたのだ!
そんな横店ですが、観光地としても発展していて、撮影セットは基本的に一般公開されています。唯一入ることができないのが、実際にドラマを撮影している場所。
つまり、ですよ。
誰でも自分の好きな作品が撮影された実際のセットを見ることができるし、同じ場所で、現在進行形で新しい作品の撮影が行われていると。
なんて胸熱な場所!!!
これは行ってみなくちゃダメでしょ!
そこのあなた、いつか行くとか言ってるうちに月日は過ぎていきますよ。
いつ行くの? いm(中略)
というわけで、みなさんが横店に行く際に少しでもヒントになるように、簡単なガイド的なものを残しておきますねー。
横店へのアクセス(上海から)
上海から横店の距離はおよそ250km程度。大阪から浜松くらいのイメージでしょうか。
長距離バスやレンタカーなど交通の選択肢はいくつかありますが、いちばん楽して手っ取り早く行けるのは高速鉄道で義烏駅まで行き、そこからタクシーで横店に向かう方法。
時間的には高速鉄道の上海虹橋〜義烏間は1時間半ちょい、義烏駅〜横店までのタクシーは1時間ちょいといったところ。料金はG列車の二等座(普通席)が123元/人、タクシーは義烏市外に出るためメーターではなく交渉が必要でした。
何人かの人に聞いてみましたが相場は150元、夜に来た友人は170元でした。メーターでも140元近くいっていたので、まぁ許せる値段かと。
義烏からローカルバスを乗り継ぐのに比べるとだいぶん割高ですが、上海・義烏間は列車の本数も多い(ほぼ15分〜30分間隔)し、タクシーは駅のロータリーで難なく捕まりますし、時間の節約と体力面での楽さを考えると、やはりこの方法がベストかと。
あとで分かったことですが、横店観光は体力勝負ですんで・・・!
ちなみに、市外に出る時に運ちゃんと一緒に交番に身分証を見せに行かされまいたが、特に何もありませんでした。身分証チェックして、適当に世間話をして終わります。
横店内の各観光スポット
一口に横店といっても多数のスポットにがあり、マイナーなものも含めるとその数は10以上になります。その中から、公式サイトの地図に載っている主要スポットについて、ごく簡単にご紹介しますね。

明清宮苑

明清時代の宮廷を再現した建築。
北京にある故宮のコピー部分が基礎になっていますが、抗日片用の大日本帝國軍基地のセットなど、撮影用に複数の時代のセットも混在しています。
ここで撮影された作品:
《王妃の紋章》《宮廷の諍い女》《還珠格格》《宮〜パレス〜》等
秦王宮

その名の通り、秦時代の王宮。
中でもチャン・イーモウ監督《HERO》のロケ地が最大の目玉で、ジェット・リーvsドニー・イェンが対決した棋館では、実際の対決場面を再現したワイヤーアクションショーを見ることができます。
以前は旅行客自らがワイヤーアクションを体験できるアトラクションがあったのですが、私が行った2015年9月には残念ながらなくなっていました(涙)
ここで撮影された作品:
《始皇帝暗殺》《HERO》《ハムナプトラ3》《ドラゴン・キングダム》
《後宮の涙》《琅琊榜》《古剣奇譚》等
清明上河図

北宋時代の画家・張択端が描いた著名な絵巻「清明上河図」を基礎に、撮影に便利なよう改良を加え、当時の街並みを再現しています。
ここで撮影された作品:
《小李飛刀》《古剣奇譚》《仙剣奇侠伝》《トキメキ!弘文学院》等
明清民居博覧城

明清時代の町並みを再現した巨大なセット。セットだけでなく、各種の芸術展示も豊富です。
ここで撮影された作品:
《ウォーロード》《新射雕英雄伝》《蘭陵王》
《王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件》等
広州街・香港街

映画《アヘン戦争》にあわせて建設された、1840年前後の広州・香港の町並みを再現したセット。結婚式の前撮りスポットとしても人気。
ここで撮影された作品:
《アヘン戦争》《雍正王朝》等
大智禅寺

南梁時代に作られた、1500年以上の歴史のあるお寺。
セットではなく本物のお寺ですが、1994年に修復され、撮影にも使われています。
(※行ってないので詳細不明)
ここで撮影された作品:
《小李飛刀》《古剣奇譚》《神雕侠侶》《絶代双驕》
《王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件》等
華夏文化園

「一日の観光で、一億年を見渡せる」という売り文句の、中華民族5000年の繁栄をテーマにした巨大な庭園。
(※行ってないので詳細不明)
ここで撮影された作品:
《古剣奇譚》《美人心計》《トキメキ!弘文学院》等
夢幻谷

数々のアトラクションやショーで、映像作品の世界が体験できるテーマパーク。遊園地やプールもあり、特に家族連れには大人気。唯一夜まで営業しています。
(※行ってないので詳細不明)
ここで撮影された作品:なし
チケット購入
中国の観光地はどこもそうですが、横店の各スポットの入場料金はボッタクリ。それぞれのスポットごとに100元〜150元します。数年前までは100元以下だったようなので、順調に値上げしてくれてますね。
チケットは公式サイトや各グルーポンサイトでも買えますが、こちらのネット決済はクレジット非対応でアリペイやWeChatペイ等の現地決済サービスが必要なので、日本から来られるみなさんは窓口で買うことになるでしょう。
それぞれの観光地の入り口にチケット売り場があり、個別のチケットと何種類かの連票(セット)が売っています。数日滞在するなら後者がかなりお得。私は2日で5つの主要スポットをまわる連票(450元)を買いました。
ちなみに、窓口でチケット買う時になぜか「请问来自哪里」(どこから来たのか)と聞かれ、友人はしばらく無視してましたが、答えるまでしつこく聞かれてました。
なんでそんなん聞くんだろうね?
劇組(撮影部隊)を探す
宮廷セットの中に、なんだ景観を損ねるでっかいトラックが・・・
写真撮りたいのに邪魔だなぁ・・・
と思ったら!それはなにかの劇組です!
そう、冒頭で触れたように、横店は一大テーマパークであると同時に、中国最大の撮影基地でもあります、常に何かしらの撮影が行われています。
トラックをみつけたら、フロントガラスの通行証をチェック。
何のドラマのクルーか書かれています。
このときは《雲之凡(仙剣奇侠伝5)》の撮影中でした。

そしてこのトラックの近くには、間違いなく劇組がおります。
お目当ての明星さんがいる場合は、普段からファンクラブやマネージャーを通して動向を探っておき、横店での撮影にあわせて旅行に行かれるのもいいですし、私のように「そこまでは別に・・・」という方もこちらに、現在撮影中の作品、出演者が書かれていますので、参考までに目を通して行かれると良いのではないでしょうか。
(上記リンク切れの場合は「横店 剧组 名单」なんかで検索してみて下さい。)
ただ、実際に明星さんを見られるかどうかは「運」も必要。ここを掘り下げると長くなるので詳しい方法には触れませんが、「せっかく行くからにはどうしてもあの明星に会いたいねん!」という方は、このあたりの記事を参考に作戦を練ってみてください。(中国語)
横店市内の交通
小さそうに見えて意外と広大な横店の街。
徒歩の移動もできないことはないですが、しんどいです。
いちばん楽なのはタクシーですが、場所によっては捕まりにくかったり。
そこで便利なのが、こちらの三輪タクシー。

横店を舞台にした映画、イー・トンシン監督の《我是路人甲》でも、東北の田舎から出てきた主人公が三タクに乗り、そしてぼったくられますw
(ちなみにその時の運転手のおっちゃんは最後に以外なところで出てくるのですが…)
最初に「到○○、多少钱?(◯◯には行きたい場所を)」と価格交渉を。
主要観光地は大きく分けると北エリアと南エリアに分かれていますが、同じ区画内なら10元、北⇔南の移動なら15元、といった相場です。近くなのに20元とか言われたら「はぁ?」という顔をして去ればよろし。
人によっては遠くだけど10元でいってくれるところもありました。
それでも高いけどなー。
ホテルと食べ物
観光地なのでホテルは大量にありますが、外国人OKの安ホテルは少ないです。
とはいえアゴダ等の日本語予約サイトで予約しておけば特に問題ないかと。
ちなみに私は連休前ギリギリでホテル探しをしたので、既にサイトでの予約が不可能な段階でした。
仕方がないので目ぼしいホテルに片っ端から電話をかけまくって、部屋が余ってるか、値段はいくらか(連休前は値段を釣り上げてくる)、デポジットは必要か(ホテルによっては担保として事前振込みを要求される)を聞いてまわるはめに。
横店に限らず、みなさんホテルは早めに取りましょうね。
ゴハンについては特に調べていかなかったんですが、街を歩いている感じでは目立った名物料理はない模様。ホテルの近くの大通りで一番人が入っているお店に入ってみましたが、そこはさすがに美味しかったです。お高めの店なら劇組の打ち上げなんかに会えるかも?
撮影が遅くなる時は、道端の屋台で明星が串焼きを食べていることもあるのだとか!
また、朝ごはんは観光地に行く前に街中で食べておきましょう。観光地では、なんの変哲もない手抓餅が30元くらいします。。。

唯一、名産ぽいなと思ったのが金華酥餅
しかし同じ金華でも、ハムの店はあまりみかけなかった・・・
おまけ:横店に行く前に見ておきたい
《我是路人甲》
上のリストに出てきた作品を復習しておくのもいいですが、それとは別にチェックしておいてほしい作品がこちら。
イー・トンシン監督の《我是路人甲》は、横店の映像基地でスターを目指す名もなきエキストラたちの物語。2015年9月現在では日本公開されていませんので中国語を解する方向けですが、これがめちゃくちゃいいんですよー!
決して優しくない現実を、笑いあり、涙ありで実に軽妙に描いた作品です。
あのトニー・レオンが感想を寄稿したことで話題になりました。
主要登場人物を演じているのは実際の若い駆け出し俳優たちなんですが、これがみんな可愛いんです。そのほか、監督本人、アラン・マック、アンドリュー・ラウ、ダニエル・ウー、アレックス・フォン、アニタ・ユンなど、豪華なカメオ出演陣も見どころ!
数々の世界的ヒット作を生み出した華やかな舞台であるいっぽう、夢を追いかける若者たちの奮闘の舞台でもある横店の街。この映画をみて予習していけば、撮影基地だけでなく何気ない街並みも愛しくなり、違った楽しみ方ができると思いますよ!
以上、横店観光をする上での基礎知識でした。
私もこちらに来る前は具体的な位置もなにもわからずでしたが、ちょっと調べてみると上海から近いので行きやすいですし、日本語の情報があることで、個人旅行でももっと気軽に足を運べる場所になればいいなと思います。
中国での個人旅行が不安な方は、日本からのツアーもけっこう出ていますので、調べてみて下さいね。